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許可なしに無料で使える著作物の条件

著作物保護期間は、著作者の生存年間 + 死後70年間です。ですが、著作物の全部が全部この保護期間を過ぎなければ、許可なしでは使えない、というわけではありません。法律で、一定の条件の下、無許可 & 無料で使えるものもあります。また、著作者自身が条件を付けて、無許可 & 無料で利用を認めている場合もあります。そして、著作権保護期間の過ぎたパブリックドメインも。
著作権法が規定する無許可 & 無料使用OKの場合
文化庁は、著作物が自由に使える場合として、28項目を挙げています。そのうち一般によくあるケースを、その禁止事例とともに表にまとめました。
自由に使える場合 | 説明 | 禁止される場合 |
---|---|---|
私的使用のための複製 (第30条) | 家庭内で仕事以外の目的のために使用するために,著作物を複製,翻訳,編曲,変形,翻案すること。 | 家庭内で仕事以外の目的のためにコンビニなどで複製すること、コピーガードを解除すること、映画館で盗撮すること。 |
引用 (第32条) | 引用の目的上, 正当な範囲内で,自分の著作物に他人の著作物を引用、翻訳すること。 | 転載を禁ずる旨の表示がされている場合 |
営利を目的としない上演等 (第38条) | 営利を目的とせず,観客から料金をとらない場合,公表された著作物を上演・演奏・上映・口述すること | 出演者などに報酬を支払う場合 |
上記に挙げた以外、教材やドリルや試験問題として学校が著作物を無許可で扱うことは認められています。ただし、学習塾はダメ。
総じて、現行の著作権法では、著作物の自由に使える範囲は極めて狭く、死後70年間という保護期間の規定も含めて、著作権者(≠ 著作者)の擁護に傾き過ぎていると言わざるを得ません。
文化庁 著作物が自由に使える場合 より
パブリックドメインとその利用
パブリックドメインとは、保護期間を経過して、社会の公共財産となり、だれでも自由に利用できるようになった著作物のことです。パブリックドメインを電子化して公開しているサイトも多く存在します。
ただし、パブリックドメインを電子化したものは、必ずしもパブリックドメインとして公開する義務はありません。電子化にかかったコスト、公開サイトの運営コストなどの費用を何らかの形で回収しようというのもわからなくはありません。そんな中で、あえて、電子化したパブリックドメインの作品をパブリックドメインとして公開しているサイトもあります。パブリックドメインで公開すると、社会に及ぼすインパクトが違います。
Project Gutenberg
Project Gutenberg はアメリカを拠点とするNPO法人によって運営されている電子図書館で、6万点を超えるパブリックドメインの作品を電子書籍化して、パブリックドメインとして公開しています。Project Gutenberg では、誰でも、登録なしに無料でダウンロードできます。
Project Gutenberg の蔵書の多くは英語のため、読者の英語のボキャブラリサイズを測定して、読者の英語力に合った電子書籍のリストを推薦してくれる Gutenberg Readability Search という無料サービスも派生しました。
つまり、世界じゅうの英語学習者の支援にもなっているのです。
青空文庫
日本で、著作権の切れた文学作品を中心にボランティアで電子書籍化し、パブリックドメインとして広く公開しているのが青空文庫です。
工作員(耕作員)と呼ばれるボランティアが、OCRで起こしたテキストを校正者(=ボランティア)とともに二人がかりで電子化していくという緻密な作業を行っています。ほんとうに頭が下がります。
2020年、コロナ禍で、ボランティアの朗読用として著作権の切れたテキストを探すために、青空文庫にアクセスが集中したのも、パブリックドメインが他のボランティア活動を刺激した好例です。
美術・古書
日本の公立図書館は最近、電子図書館を始めたようですが、パブリックドメインの電子書籍は青空文庫に依存しており、その他の品揃えは貧弱です。それに引き換え、欧米の美術館や図書館の剛毅なこと。下記サイトで丁寧に紹介してくれています。
PHOTOSHOPVIP 【2020年版】パブリックドメインで無料!世界の名画550万枚をダウンロードできる美術館サイト19個まとめ
クリエイティブ・コモンズ
クリエイティブな作品は、100%オリジナルな発想から生まれるというのは、誤った思い込みです。
さまざまな発想、ときに先人の実験的な試みを踏襲したうえで、それらを発展させて生み出された作品が真にクリエイティブだったりします。
ですから、クリエイターの多くは望んでいます。他人の優れた作品がいつでも簡単に参照・利用できる状態であればいいのに、と。
そしてそう望む人は、自分の作品も他人の創作に使われてもいいんじゃないかという考えになります。
クリエイティブ・コモンズは、こうした考えに至った著作権者に、どのような条件ならば、どの範囲まで、許可なしに自由に利用してもいいよというライセンスをアイコンで示すことを提案しています。これにより、クリエイティブ・コモンズが提案するライセンスは6種類あります。
CCライセンス 表示

CCライセンス 表示 + 非営利

CCライセンス 表示 + 継承

CCライセンス 表示 + 非営利 + 継承

CCライセンス 表示 + 改変禁止

CCライセンス 表示 + 非営利 + 改変禁止

上記1つを選んで、アイコンをつけれることで、クリエイティブ・コモンズライセンスとすることができます。
クリエイティブ・コモンズは著作権法をベースにしていますが、著作物の自由な使用範囲を著作者自身が決めることで、著作物がより広く流通するようになりました。
日本発の最も有名なクリエイティブ・コモンズライセンスは初音ミクで、多くのクリエイターとそれらの創作の享受者を生んだことはよく知られています。
まとめ
著作権法で認められている、著作物を自由に使える範囲はともかく狭いです。
一方、著作権の保護期間を過ぎたパブリックドメインは、それを自由に電子化し、パブリックドメインとして公表することによって、社会的な影響力をもちました。
クリエイテイブ・コモンズは、現役の著作者が自身の著作物の利用規制を自分なりに緩和することを提案しています。クリエイティブ・コモンズは、初音ミクのように広く流通することによって、世界中のクリエイターを刺激する著作物となったものもあります。