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スキルマーケット-相談系アイテム充実-

スキルマーケットとは、デザインやイラストなどの創作スキルのある人(出品者)と、そうした創作物を購入したい人(購入者)を仲立ちするサイトのことです。クラウドソーシングとともに、シェアリングマーケットの一翼を担う分野です。
スキルマーケットとクラウドソーシング
スキルマーケットもクラウドソーシングのように、出品者・購入者ともに登録料は無料、やり取りは原則システム内だけ、売買が成立したときのみ、手数料を支払うというしくみです。では何が違うのかというと、スキルマーケットには、以下3点の特長があります。
- 出品者が値付けし、購入者が購入する取引もあり
- 販売コストが極めて高い
- スキル以外の知識や経験もが売買される
1. 出品者が値付けし、購入者が購入する取引もあり
クラウドソーシングのように、購入者が案件を提示し、それに対して出品者が見積もりをするという取引もありますが、スキルマーケットではこれに加えて、出品者が自分の創作物やサービスに値付けして、購入者がそれを購入するという取引もあります。
2. コストが極めて高い
手数料が契約額の25%、それに消費税、クレジットや振込手数料等の決済手数料が付きます。
これらはすべてが契約額から差し引かれますが、それでも販売価格を安く抑え、実績作りに励む出品者が多く存在します。
3. スキル以外の知識や経験が売買される
スキルにとどまらず、知識や経験に基づくサービスも出品されるため、「レポート執筆」「愚痴聞き」「恋愛相談」など実に多彩な販売項目が並びます。しかも、それらにちゃんと販売実績がついていたりします。
とくに相談系アイテムが充実しているのが特徴です。
スキルマーケットはビジネス利用拡大に向かう
スキルマーケット最大手のcoconara の調査によると、コロナ禍、「ビジネス利用が急増」したとのことです。
政府の自粛要請により、スキルマーケットのビジネス利用が急増。「自社ビジネスのオンライン展開」が利用背景の47%を占め、中小企業にデジタルシフトの兆し
ただ調査といっても、休日を含むたった4日間、自社の利用者のうちビジネス利用した企業にネット上でアンケートを取っただけ(180件回答)の簡易なもので、分析も雑なので、ここからどれほどのことがいえるのかわかりません。そもそも、過去のデータと比較した数値、あるいはビジネス利用以外と比較した数値がないので、ビジネス利用がどのくらい"急増"したのか不明です。
むしろこの"調査"から浮かび上がることは、コロナを機に、ともかくビジネス利用を伸ばしたいという coconara の願望です。
前述したように、スキルマーケットでの販売はやたらにコストがかかりますが、出品者は実績を積むまで販売価格を上げようとはしません。
販売価格が上がらなければ、マーケット運営者がいくら手数料をむしり取ってもたいした利益にはなりません。
スキルマーケットの意識が、販売単価が高めのビジネス利用に向くのは当然といえます。
しかしビジネス利用の分野では、クラウドソーシングが先行しています。スキルマーケットに勝算はあるのでしょうか?
ある程度、スキルマーケットのビジネス利用も伸びるのではないではないか、と筆者は予想しています。
ある程度とは、コロナ対応で業務のIT化を図らなければならなくなった中小企業が、デザインやホームページとか手近な案件、すなわち、だれでも結果の善し悪しがある程度わかるようなレベルの案件を発注する間、その需要を取り込めるだろうということです。
ただし、そういうレベルのスキルならば、提供者が多いので、販売件数が伸びても、販売価格はたいして上がらないと思われます。
コロナ特需で喜ぶ期間は、意外と早く過ぎてしまうかもしれません。
情報化された現代社会は、技術の進展が早く、古い知識がすぐに陳腐化してしまいます。古いレベルのスキルではもはや満足できない購入者が現れます。
かといって、新しいスキルを求める購入者がそのスキルを理解できているとは限りません。
購入者が自分で善し悪しの判別がつかないスキルを求めるとき、あるいはどうやって実現すればいいかわからない案件を提示するとき、購入者自身、スキルや技術に対する理解を深めていく必要があります。どうやって? 出品者の話を聞いて。
あるレベルを超えたスキルを求めるとき、多彩で、緊密なコミュニケーションが不可欠です。たとえばテストサイトを構築し、テストを繰り返しながら、出品者と購入者が討議していく、そんなにコミュニケーションの中でしか、プロジェクトの成功は望めません。
このとき、スキルマーケットやクラウドソーシングのように、システム内の接触しか認めない貧弱なコミュニケーション環境では仕事になりません。
同様のことを、出品者側から吐露したのが、冨江恵さんのブログ記事です。
相談系アイテムの売買
主催者の思惑がどうであれ、スキルマーケットの一番の特長は、何と言っても、相談系アイテムの豊富なことです。「恋愛結婚」「友人関係」「自己肯定感」・・・。
こんな個人的な悩みを聞くことが、商売のネタになることに気づき、最初に実行した人はキレ者だと思います。
実際、個人的な悩みは昔から、家族や友人・知人だけではなく、新聞や雑誌やラジオといったメディアに投稿されてきましたし、そうしたメディアの相談コーナーは人気があり、投稿しない人も読んだり聞いたりしてきました。
個人的な悩みは昔から人気アイテムだったのです。それを商売にできたのは、次の3つの要素が揃ったからと思われます。
- 匿名で相談でき、あとくされがないこと
- 顔を合わせずに相談できること
- 相談料が安いこと
とくに、相談料を支払うという点は、相談者に逆に安心感を与えていると思われます。
これがSNSで無料ならば、下心を疑ったり、秘密を保持してくれるか心配になったりするでしょう。ビジネスとして悩み相談を請け負う人に対価を払うので、悩判されたり、バカにされることなく、扱ってくれるはずと期待できます。
そして、当て外れでも、話を打ち切ったり、別の相談相手に鞍替えできたりします。
では、販売者はどうして安い価格で、名前も知らない人の相談に乗ったりするのでしょうか?
スキルマーケットの販売価格の安さに対する批判に反論する人たちの意見は、おおむねこうです。
- 販売価格が安ければ客が付く。
- 場数をこなせばうまく対応できるようになるから、スキルアップする。
- 実績を積めば単価を上げられる。
1と2はその通りでしょうが、問題は3です。どの程度、実績を積めば、いくら値上げできるのでしょうか。
単価を上げたとたん、客が離れるという不安はないのでしょうか。
スキルマーケットで相談系アイテムを買う人の多くは、悩みごとを解消してくれることを求めてはいないように見えます。彼らはただ話を聞いてもらいたいだけ、ちょっぴり勇気づけてもらいたいだけなのかもしれません。としたら、販売単価の値上げは慎重にならざるを得ないでしょう。
相談系アイテムの販売件数は伸びるとしても、販売単価は大して伸びないと筆者は予想しています。
まとめ
スキルマーケットは、クラウドソーシングのように購入者が案件を提示し、出品者が見積もりを出して発注してもらう取引のほか、出品者が販売アイテムに値付けをし、購入者が買うという取引もあります。販売コストは高くつくものの、クラウドソーシングと同様に、販売実績を上げることを重視するため、価格は安く設定しがちです。そのため、スキルマーケット運営者は、販売価格の高いビジネス利用の拡大を目指していますが、人気を集めているのは、相談系アイテムです。
個人的な悩みを見ず知らずの、専門家でもない人に、お金を払って打ち明ける時代はしばらく続くでしょう。