地方の中小企業が勝ち抜けた自動見積の成功例

トップイメージ:地方の中小企業が勝ち抜けた自動見積の成功例

発注先業者を探して検索すると、東京の大企業と並んで地方の中小企業がトップ10に出てきたりします。そんな企業のホームページは何か活気に満ちているように思えます。本稿では、自動見積機能を有し、大企業・有名企業と堂々と渡り合っている地方の中小企業をホームページを精査し、その強さの秘密に迫っていきます。

スピード冊子印刷.com

スピード冊子印刷.com (有限会社ヤマダスピード製版|福岡市)

社名からは製版会社かと思ってしまいますが、それは先代がガリ版で起業したからで、その後、オフセット印刷機を導入し、オンデマンドに乗り出すことによって、印刷業に本格参入したそうです。

ホームページを見るとおわかりのように、一般企業の営業マニュアルから大学の卒業論文、はてはマンション管理組合の総会議案書まで、他の業者ならなかなかラインナップしないアイテムまで取り扱い、かゆいところに手の届くサービスをしています。
それぞれ自動見積がつき、細かい仕様を選択肢から選びながら、料金を算出できるようになっています。そして見積もり金額に納得したら時点で、版下を作って注文という流れになります。
もっとも「それぞれ自動見積がつ」くといっても、冊子はどれも見積項目は共通するものが多く、1つのプログラムで間に合わせているようです。

自動見積の源流オンデマンド印刷で起こったこと で指摘したように、オンデマンド印刷業界は、商材ごとに専門化し、集客を図っていますが、有限会社ヤマダスピード製版ではそれを徹底しています。すなわち、スピード〇〇印刷.com というブランド名で、「封筒」「伝票」「挨拶状」「賞状」「チケット」「会社案内」「名刺」「同人誌」とそれぞれホームページを立ち上げ、専門業者として展開しています。
しかも、それらすべてが自動見積、もしくはオンライン注文できます。よく見ると、ホームページのデザインやプログラムは、すべて使いまわしで、非常に効率的です。しかもこれだけの事業を、たった35名でこなしています。確かにどのアイテムも売値は安いのですが、従業員一人当たりの生産性が高いので、収益性の高さが窺われます。

お手軽印刷ドットコム

お手軽印刷ドットコム (株式会社ブイツーソリューション|名古屋市)

お手軽印刷ドットコムは、自費出版業者として有名です。
自費出版といえば、幻冬舎や新潮社など有名出版社も乗り出している分野ですが、有名出版社から出したからといって、知名度や話題性がなければ売れないのが実情です。ですから、自費出版とは、人気作家を目指している人よりも、自分や家族・親しい友人の原稿なり写真なりといった素材を本という形にしたいという人向けのサービスです。
そうした人がまず第一に気にするのが、費用。でも、費用をいちいち問い合わせるのは抵抗があるというのがふつうです。
こういうとき役に立つのが、自動見積です。
自動見積なら、誰にも気兼ねすることなく、条件を変えて好きなだけ見積をとることができます。

お手軽印刷ドットコムの自動見積の特長は、デォルトの選択肢が設定されており、そのままボタンをクリックすると、手元の原稿を最もシンプルな形の本にした場合の価格が算出されます。すなわち、最安値が提示されます。そこで意外と安いと感じた人は、さらにオプションを付けて、本を豪華にしていくか、そのまま資料請求するかというルートを辿り、顧客になっていくのです。
ところで資料には、過去の自費出版した人の体験談を掲載されており、出版業界になじみのない人に必要な知識を与えながら、うまく自費出版への道をエスコートするしくみになっています。
体験談はお手軽印刷ドットコムのホームページ上にもあり、頻繁に更新されているようです。もちろん、好意的な顧客のコメントをホームページに掲載するのはよくある集客手段ですが、お手軽印刷ドットコムの評判は自己演出を超えています。
というのは、まったくの外部サイト(やらせ比較サイトでない)で、お手軽印刷ドットコムの使い勝手に関して好意的な論評をしていたりする利用者がいるからです。そのポイントの一つに自動見積を挙げているもの、利用者ならでは視点です。

トートバッグ工房

トートバッグ工房 (株式会社エーリンクサービス|鯖江市)

トートバック工房は人件費の安い東南アジアの縫製工場で作ったバッグに、国内で印刷などの加工をするサービスをしています。
名入りのオリジナルバッグを作っても、ホームセンターの半額以下という価格で手に入ります。
1点から注文できるというのもすごいところです。

未上場の会社なのに、しっかり売上報告をグラフでしており、それによると、2010年の創業から常に右肩上がりで、第10期目に当たる2019年には11.0億円、従業員数は3人から53人。収益性の高さにも驚かされます。

法人相手に掛け売りもするため、自動見積にはそのまま見積形式で印刷できる印刷機能がついています。

まとめ

ご紹介した3社の成功例、いかが思われましたか?
3社ともホームページ名には会社名を使わず、サービス名を前面に出し、サービスを探している人にアピールしていました。
そして自動見積で、ユーザーはわざわざ問い合わせなくても、費用が把握できるようにしています。
もちろん、これらの会社が成功したのは、自動見積だけのせいではありません。しかし自動見積がなければ、ここまではいかなかったかもしれません。
見積は利益につながることはありますが、見積自体が利益を生むのではありません。自動見積で、見積業務にかけていた時間や労力を別のことに振り向けられたら、上記3社のように、もっともっと上に行けるんじゃありませんか?

著者紹介

管理人
津田頼子 Tsuda Yoriko

Webデザイナー&フロントエンドエンジニア。
有限会社デジタルエイド代表。

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